About

株式会社Sacana / 魚と釣り人を未来永劫幸せにする会社

次に釣れる魚は

あの時リリースした魚かもしれない

だからシングルフック

魚のために

釣り人のために

起業ストーリー

 「なぜシングルフック専門メーカーを立ち上げたのか?」

⬛︎自己紹介

私と釣りとの出会いは幼少期で3歳の時には針に糸を結べていたのを覚えています。 とにかく魚が好きで毎週末釣りに行き、釣ったりガサガサで獲った魚を水槽で飼育し、幼魚がどんな成魚になるのか育てるのが楽しみでした。小学生の頃には10個くらい水槽を維持し、それは現在も変わっておらず、今も15個くらい水槽を管理しているほどの魚好きです。

小中高時代は自転車でなんとか通える印旛沼水系や船橋港で釣りをして、免許を取れる年齢になるとそれまで雑誌で見て憧れていた中禅寺湖や渓流のトラウトを狙うようになりました。 芸術家の父親から授かった手先の器用さと造形に対する感性を発揮し、大学生の頃にはハンドメイドルアーを製作しショップ等で販売をしており、自分の作ったルアーとロッドだけでシーバス年間800匹、内ランカー50匹釣ってました。ほとんど断っていましたが当時雑誌やテレビなどのメディアでも取材依頼が来ていたほどです。

そういった意味では釣りのプロであったのかもしれませんが、私の中でプロとはトーナメントでいい成績を収めたり、資格を持っている人であり、自称プロというのは料理研究家みたいなもので、いまいち説得力がないと考えていました。

海釣りやトラウトの釣りではトーナメントはないので、それでは釣りの資格はないのだろうかと調べていたら、ドイツに「釣り免許」というものがありました。

 

⬛︎ドイツへ渡航

ダンケ以外ドイツ語を知らない状態でしたが、通勤中に勉強してドイツの学校に潜り込むことに成功しました。そこから一日14時間くらい勉強してドイツ語をマスターし、いよいよドイツの釣り免許講習を受けることになりました。

ドイツの釣り免許というのは自動車の免許などと同じ国家資格で、半年間くらいの講習があり、値段も15-20万くらい掛かります。 釣りの講義だけでなく、解剖学、生態学、動物保護法なども学びます。

半年間ドイツ人と学んでいく中で、学科中は大人しい日本人の私が、実技になるとマイスターをも凌ぐ腕を持っていることが段々と知られるようになっていきました。 最終的にはマイスターに教えている状況になり、「お前はマイスターを超えた存在。つまりフィッシングアーティストだ。」言われるほどでした。

そして最後の試験。600問中の何百問だったか忘れましたが、無事に全問正解で合格。 晴れてドイツで釣りができるようになりました。

環境先進国のドイツなので釣り場環境は素晴らしく、風光明媚な土地で魚もコンディションが抜群でした。まるでヘルマンヘッセの小説の中にでもいるような感覚でした。

すべての釣り人は労力を掛けて釣りを学んだ人たちですので、釣り場にゴミを捨てたり、魚を雑に扱ったりする人は1人もいません。 釣り無法地帯の日本とは真逆の環境でした。 確かに厳しいレギュレーションなど制約はありますが、日本とドイツのどちらの釣り環境がいいかと言われれば、それは当然ドイツになります。

昨今メディアでも釣り人のマナーに関する報道が盛んにされていますが、ドイツであんなことをやったら即刑務所送りです。 日本の釣り道具は世界の30年先を行っていますが、釣りに対するモラルは30年遅れてると言っても過言ではないでしょう。

ドイツ語も習得し、仕事も友人にも恵まれこのままずっとドイツにすむつもりでしたが、歳をとってくると世の中に恩返ししなくてはならないとの気持ちが強くなり、では自分にできることは何かと考えました。

自分が一番好きで、それに貢献できるもの。

それは「釣り」しかありませんでした。

魚が好きで釣りが好きで、そのおかげで自分は幸せに生きてこれました。でも、釣り場環境の問題やマナーやリリースする魚に対してのダメージなど、日本の釣りは問題が山積しています。

この釣りという文化をもっと良い形で次に繋げたい。

それには自分がドイツで学んできた体系づけられた知識が役に立つのではないか?

そしてそれに適任なのは世界に私しかいない。 だって史上初めて満点で合格した唯一の人間だから・・・。

傲慢かもしれませんがそう考えて帰国を決意しました。

 

⬛︎ドイツから帰国

ドイツに様に免許制度まで導入する必要はないと思いますが、日本人は魚や釣りや環境などについてもっと学ばなければならないのは確かです。

モラルやレギュレーションに関しては、最近になって自らゴミを拾うアングラーやマグロ釣りなどでレギュレーションができてきたりという動きはあります。

ですが、問題はマグロ釣りだけでしょうか?

僕ら釣り人の一番身近にいる魚はマグロではなく、シーバスやチヌやトラウトではないでしょうか?

その身近にいる魚をまずはボトムアップでみんなで考えていかなければ、いつまで経っても環境は良くなりません。

そしてシーバスやチヌやトラウトはかなりの割合でリリースをする釣りです。 それなのに今だに魚にダメージを与えやすい道具で釣りをしているのは問題であり、そこは我々一人一人の意識で変えられる部分であります。

魚にとって一番ダメージを与える道具、それは「釣り針」です。

釣った魚が出血していたり、目などに刺さっていたり、釣りをしていたら頻繁にそういう事が起こります。そういった事を解決できる、もしくは軽減できるのが「シングルフック」です。

リリース前提の釣りはシングルフックを使うというのが日本以外の先進国の一般的な感覚で、海外の釣り場ではシングルフックでないと釣りができない場所が多くあります。

でも日本では管理釣り場くらいでしかそのようなレギュレーションはありません。 トラウトフィッシングではシングルフックの使用率が増えていますが、トラウトだけでなくソルトルアーもリリース前提の釣りではシングルフックを使用すべきです。

しかし、日本の釣り針は非常に高性能なのですが、残念ながら使用に耐えうるシングルフックが少ないというのが現状です。市販されているシングルフックを全て試し、エサ用の針もたくさん試しましたが、そもそもベリーとテールのフックが絡んでエビになりやすいし、ベリーのフックは背中に背負いやすいという、性能以前の問題がありました。 餌用の針にアイを設けただけと勘繰られてもおかしくない設計です。

 

⬛︎釣り針開発に着手

そこでプラグでちゃんと使える高性能なシングルフックの開発に着手しました。 これまでの釣具というのは名人の数だけ種類がある道具で、科学的に設計されたものが少ない分野でしたので、物理的分析は日本最高峰の物理学者に依頼しました。

どういう形状だったら魚が掛かり、バレにくい針になるのか?

それを科学的に分析し、作った試作品をフィールドで徹底的にテストした結果が、Sacana Inc.第一弾製品になります。

正直言ってトレブルフックを超えるシングルフックになったかというと、状況によっては釣り負けることはあると思います。

ただ現状市販されているシングルフックの中では最高峰の釣り針ができたと言い切れます。

 

⬛︎起業を決意

このように最高の針ドイツの体系づけられた釣りの学問というハードとソフトの両面で日本の釣りは良くなると信じてこの会社を立ち上げました。

もちろんベンチャーですし、順風満帆ではありません。

そもそもシングルフックを使う文化がないという現状で、シングルフックを使うという文化から作っていかなくてはならない難しさがあります。

トッププロでもトレブルフックで傷が付いて血まみれになった魚を誇らしげに掲げ、それに疑問を抱かない現状で、果たしてシングルフックなんかが売れるのか? このビジネスはかなり無謀な挑戦だとは認識しています。

そして今回の製品だけでも高級車数台の負債を抱えており、ベンチャーの常ですが資金繰りにはいつも頭を悩ませています。

あのままサラリーマンを続けていたら安定してそこそこ幸せな生活を送れていたと思いますが、今は地方に引っ越し、車も20万キロを突破し、貯蓄が日々少なくなっていく恐怖に晒されて生きてます。

それでも自分の選択は間違っているとは思いません。魚や釣り人が未来永劫幸せになるのであれば、少々の苦労なんて屁でもない。

もし自分の描いた全てのアングラーが自発的にシングルフックを使う未来が来るのなら、私が生まれてきた意味があったと思える。

恐らくこの文章を読んだアングラーの99%は失笑していると思いますが、1人でも共感してくれる人がいるなら、私はその人と一緒に未来を作りたい。

トップダウンで規制されるのではなく、ボトムアップで自然発生的に変えていく。 その方が我々日本人には合っていると、日本と欧米を両方見てきた人間だから断言できます。

ルールで規制されるのではなく、トラウトアングラーが高価なウッド製のランディングネットを魚と並べて写真を撮り、それがカッコイイと思うように、シングルフックで釣った魚だからカッコイイって、そんな感覚が当たり前の世の中になるのが最終目標です。

弊社と一緒に草の根から釣りという文化を変えていきましょう。

よろしくお願いいたします。

シングルフック専門メーカー 株式会社Sacana
代表取締役 さかな